さて、昨日の続きであります。
600ftのDRTロープ=イエールのマグマアイスを120ftづつで切って5本のロープにします。5セットのレクレーショナルツリークライミング用ロープ・・・と言った方が良いかな。
ロープの末端(切った部分)は末端処理・・・というボサボサにならないように処置する必要があります。それをしないと緩みがロープの中にどんどん進行してロープ強度が低下してしまいます。
一番簡単な末端処理はビニールテープなどで巻いておけば良いのですが、ツリークライミングロープは雨に濡れたり、汚れたりすると洗わなければなりません。ビニールテープは洗うとテープの接着剤が弱くなり剥がれてしまいます。ロープの本数が多くなると洗うたびに1-2本はテープの巻きなおし・・・となってしまい手間なのでいろいろと工夫が必要となる訳です。
↑今回ご紹介の方法はナイロンの水糸(みずいと)を利用したアメリカン ホイッピングという方法です。ちょっと詳しいロープワークの本には割りと掲載されているオーソドックスな方法です。HPにもこちらに詳しい紹介がありました(→ http://www.nn.iij4u.or.jp/~ookatou/rope/e04.htm)
ただ、初めての人には原理が判りづらいと思うので、ちょっと工夫した方法で解説してみますね。
↑まず15cmくらいに切った水糸を半分に折って、輪ゴムでこんなふうに固定します。
↑次に巻きつけるほうの糸を二つ折りの糸にこんな感じで沿わせます
↑沿わせた糸(ピンク)と二つ折りの糸(黄色)の上をコイル状にきつく巻いて行きます。巻く回数は任意ですがDRTロープの場合5-6回が良いかな。
↑必要数巻いたら、巻いた糸(ピンク)を二つ折りの糸(黄色)のアイ(輪っか)の中に通します。
↑ピンクの巻いた部分が緩まないようにしながら黄色の二つ折りの糸を引っ張ってピンクを安定させます。
↑輪ゴムを切って取り除きます。
↑さらに「グイグイ」と黄色を引いて、ピンクの先端をコイル状に巻いた下を通して黄色側に引き抜きます。
↑この状態になったら手前側の輪ゴムの切ってしまいましょう!
↑・・・で、さらに引っ張ると完全にピンクの糸の先端が抜けます。
はい、判りましたか?「コイルに巻いた糸の先端と終端のどちらもがコイルの下を通っている」という不思議な糸処理になった訳ですね!
↑はい、余分な糸は切ってしまいましょう!
↑するとこんなにスキッとしますね(笑)少し巻いた部分がロープの切断面から離れている場合はグイグイと爪で押せば調整可能です。ただ、僕はあえて2mmぐらい余裕を残すようにしています。えっ?理由ですか!それは秘密です(笑)。というか文章で表現しづらいので僕に会える人は直接聞いてくださいな。
仕上げに瞬間接着剤を浸み込ませて完成!この方法、2年程使用してみましたがすこぶる調子が良いです。ロープを洗ってもビクともしません。欠点は処理した部分が堅くなるのでロープがゆれて先端が顔に当たると痛いです(苦笑)。なので巻く回数は5-6回でコンパクトにしております。最初は面白くて10回ぐらい巻いてました(笑)。
接着剤も樹脂系やらエポキシやら試しましたが、塗った部分がツルツルになってラインでロープを上げるときに滑るので、瞬間接着剤がベストのようです。
↑仕上がりはこんな感じ!ロープが毛羽立っている部分が固まると角が立って触ると痛いので、そんな場合は良く切れるカッターで削ると滑らかになります。
お断り・・・
一応、2年程レクレーションで実際使用して不都合が無い様なので公開しましたが、この方法をとる場合はご自身でも「経過観察」しながら使ってくださいね。まあ、最も「用具は使用前に必ず点検」がツリークライミングですから、それを守っていれば問題は無いハズですけどね。
ありがとうございました!
No.473